ころころした体型の彼女は中学二年生。彼女の手足を動かしての話しにはテンポと冴えがあり、つい笑ってしまいます。将来はお笑い芸人にと、保険室の先生から言われたとのこと。彼女自身の夢は、舞台俳優です。

彼女はAD/HD(注意欠陥・多動性障害)と診断されました。AD/HDの子のなかには、ユニークで面白い発想をする子がいます。それをハイな状態でしゃべり続けます。

その彼女がホームページを開設しました。表現したいという気持ちが強く、自作の詩やマンガなどを披露しています。日記もあり、学校での出来事などを書いていました。

問題が起こった原因は、ホームページのある日の日記でした。クラスの女の子たちからいじめられたと書いてしまいました。これを知った女の子たちが猛烈に非難しました。彼女は人の気持ちがわかりにくく、強く思い込むことがあります。彼女が誤解していたのですが、彼女は謝りません。結局、これまでのこともあり教室にますます居づらくなり、保健室への登校が多くなってしまいました。

ホームページは、時に思いも寄らないような影響力を持ちます。彼女は、自分の日記を公表することで何が起こるかをわかっていませんでした。想像力が不足していました。

ただそのことよりも注目したいのは、彼女が謝らなかったことです。実は日記には読者がいて、その人たちが「いじめられた」との話しに共感しました。このことで、彼女は自分の考えが一方的とか、日記に書いたことが悪いとは思えなくなりました。このことにこそ、大きな問題がひそむように思います。

先日ある県で、妹を殴って重傷を負わせた中学生がいました。彼は殺人を取り上げるホームページを読み、人を殺したいと思ったそうです。間違った考えを面白がり「それでいい」と認めてくれる世界。判断力が弱く、また批判してくれる友達も少ない子ども。その中からホームページをみて、自分の間違った思い付きを実行に移す子が出たとしても不思議ではありません。

インターネットの世界、そこは繁華街とは違うものの、無防備な子どもにとっては同じように危険と感じています。

<担 当>湯汲英史
1953年生 早稲田大学 第一文学部 心理学専攻卒
(社)発達協会 常務理事 心理・言語担当 言語聴覚士 精神保健福祉士 早稲田大学客員教授