退学させられる子ども
私立中学への進学希望が増えています。都内では、25%の児童が私立中学で学んでいます。
秋になるとクリニックでは、私立中学への進学相談が増えます。私立希望の主な理由は、「いじめがない」「教育の質が高いと思う」です。もちろん教育の現場を知るわけではありません。ですから具体的なアドバイスはできません。ただそれでは満足できない方も多く、メリット・デメリットを話します。
私学進学のメリットですが、確かにいじめについては厳しい学校が多く、驚くような話は聞かないことです。ただこの点は、公立で熱心に取り組む学校も増えてきました。また私学教育には、独自の教育方針があり、教育内容がわかりやすい点もお話しします。
逆に言えば、保護者に要望はあっても、それが教育方針に反すれば受けいれられないでしょう。これはデメリットにもなります。
このほかのデメリットは、不合格の場合に子どもが受けるショックの大きさです。志望校を続けて落ち、頼みの学校でも不合格だったある子は、発表の場で動けなくなりました。その後も、気持ちが揺れると動けなくなります。この子は、もともと緊張してしまうタイプでしたが、こういう子には用心が必要です。
もう一つのデメリットが退学です。いまクリニックで担当の、私立中学に通う生徒が複数、退学の危険を抱えています。彼らは、学業不振、乱暴、遅刻などの生活態度が問題とされています。ただこれらが発達障害と関係していて、たとえば学業不振のベースに、学習障害の存在が疑われています。
乱暴は、人の気持ちがわかりにくいことが原因のようです。このために、同級生のちょっとした言葉を悪意に解釈し、いさかいとなってしまいます。度重なる遅刻は、クラス内で浮いているとの思いが、本人にあるからのようです。
退学を避けるため、先生と連絡を取っています。学校内でのよき理解者は、養護の先生です。本人や保護者と担任との、仲立ち役になって貰っています。お陰で、現段階では退学を回避しています。適応に問題を持つ子の私立進学は、理解して貰える存在を学内に見つけだすこと、これが最大の課題となります。