中学三年になったAくんは、最近クラスの子たちとうまくいかないと嘆きます。ほかの子たちと自分は違うと感じて、それを表現するようにもなりました。

お口の多動
どうしてうまくいかないかと聞くと、授業中にしゃべるからだといいます。人に迷惑との自覚があります。こういう姿には、AD/HD(注意欠陥・多動性障害)の特徴が現れています。

「お口の多動」という状態です。衝動性の強いAD/HDの子の中には、黙っていられない子がいます。「発語の自己コントロールができない」と表現されます。話すときの沈んだ姿には、「感情のコントロール力が弱い」というAD/HDの特徴も現れています。高ぶったり落ち込んだりと、あたかもエレベーターに乗っているかのように、短時間で気持ちが変化します。

人を非難する
彼は、ほかの子が校則違反をするのが許せません。先生にそのことを言いに行きます。これには黙っていられないことも影響しています。友だちが悪いことをしたときに、「先生に言ってやろ」とはやすのは、小学校低学年までです。

規則やルールをたてに、一方的に人を非難するのは社会性が幼いからといえます。関係ができてくると、大人に仲間のことを告げ口してはいけないとわかってきます。こういう変化があって子どもたちは、「徒党を組める」ようになります。告げ口する子は徒党に入れません。こういう姿は自閉症の一種とされる、アスペルガー症候群の子たちによく見られます。

単一ではない発達障害
実際には、Aくんのように幾つかの発達障害が同居する子が多いといえます。

さてAくんの場合ですが、仲間の中に入りたいと思いはじめました。だから自分の行動を迷惑と理解できます。自分を変えたいと思うようにもなりました。ここまでくれば発達的に見て、徒党を組む楽しさが味わえる仲間がいれば変化する可能性があります。密告しないなど基本のことを伝えながら、仲間の必要性をまわりの大人たちに話していこうと考えています。

<担 当>湯汲英史
1953年生 早稲田大学 第一文学部 心理学専攻卒
(社)発達協会 常務理事 心理・言語担当 言語聴覚士 精神保健福祉士 早稲田大学客員教授